術後のSex(セックス), Period(月経), Pregnant(妊娠)について          

9/2/2007更新


左図は、外国に住んでいる友人から届いた励ましのポストカード(表紙が上の花です)です。入院日寸前に受け取りました。(この友人とは病気発覚時の海外逃避旅行で会いましたが帰国後かなり経ってから打ち明けました。)

その内容は、【この手術によってyour"Sex"lifeに不都合がでることはないだろうし、だから望めば子どもだって持てると思うよ...】 的な文章でした。 
(当時の私が もし、日本語で書かれていた同様のものを受け取っていたら、すごく気分を害したかもしれないです。 母国語ではない、あまりよく理解していない言語で書かれていたからメッセージがダイレクトに入ってこなくてよかったのかな?、と。どうでしょう。)

そうした文面...。 インフォームドコンセント前まではとても励みになっていました。 でも術後、結局全摘したということがわかった後にはこうした文面をほんの少しだけ虚しく感じてしまう自分もいました・・・。 とはいえ、この文面以上に温かくて素敵な言葉がいっぱい綴られていたので、このポストカードは今現在も、そしてこれからもずっと宝物だったりします。

卵巣腫瘍と聞いた友人が私がこうしたことに危惧するのでは?と気遣い、励ます意味でこうした文章を書いてきてくれたんだと思うと、なんだか胸がつまります。ありがたいことです。


婦人科疾患。 病巣があると思われる臓器が生殖機能を担っているという関係上、それにまつわるいろいろな心配事が頭をよぎり、悩まされることがあります。 私も、自分のブログでこうしたことへの当時の戸惑いを書いたことがあります↓。

日記のタイトル【生理的欲求:食欲・睡眠欲・性欲(2006-09-21)】
http://ameblo.jp/ransoushuyou/entry-10017313594.html

先日、ブログの方の過去のアクセス解析の検索フレーズという箇所をみてみたのですが、

  『卵巣 術後 夫婦生活』
  『子宮 とったあと 夫婦生活』
  『卵巣境界悪性腫瘍 卵巣摘出 妊娠』
  『卵巣腫瘍 片側卵巣 摘出 妊娠』
  『卵巣腫瘍 術後 sex』
  『片側卵巣 摘出 sex』
  『両卵巣 摘出 sex』

などのキーワードがわりと存在しているということに気づきました。意外と(いややっぱり?)皆さんも不安に思われているんだなぁと思いました。

私達は生き物として生まれているのだから、こうしたことに危機感を抱くのはしごく当然のことです。 だけど、こうしたことって なかなか声を出しては聞きにくい...。 その聞きにくさは、もちろん既婚・未婚にかかわらず。 でも、その中でも特に独身女性のほうがより『聞きにくい』のかも?とも思ったり...。(※もし発病時点で付き合っている彼がいない女性の場合はさらに面と向かっては聞きにくいのかも?と勝手に想像...。) なので、少しでも要らない心配事を減らす意味で、退院する時にもらった手引きに書いてあったことを基にココに載せておこうかなと思います。

まず、

 片側卵巣のみ摘出した方
(片側卵巣摘出術)や、
 卵巣腫瘍の悪いところのみ摘出された方(卵巣嚢腫核出術)、
 筋腫核出術をされた方

 卵巣機能を温存していますし月経も来るし
 セックスライフも今まで通り妊娠もちろんOKだそうです。
 ご安心ください。

では次に、

■全摘出系の方の術後のSex

両側卵巣・卵管などを摘出した方
子宮を摘出された方の場合。残念ながら卵巣機能、もしくは子宮を温存していないので閉経しますし、妊娠は不可能ですが、性行為は今までどおりでOKだそうです。

下表は、退院時にもらった紙に書かれていた内容です。

単純子宮摘出術 拡大子宮摘出術 広汎子宮摘出術
術後の膣の長さ
ほとんど変化 ナシ 1〜2cm短縮 3cm短縮
術後の分泌物(※1)の量の変化 この3つの術式後の
卵巣機能
アル(両側、もしくは片側卵巣温存)  →分泌量 変化 ナシ
ナシ  →分泌量 減少傾向
退院後、性交を開始する時期 約1カ月後(※医師の指示)
(※1)分泌物は卵巣や子宮から分泌されているのではなく、膣および、膣周辺(バルトリン腺)からのみ分泌されています。

上記の術式による性生活への支障はないそうで以前と同じくでいいそうです。(※広汎― の場合は多少支障があるとのこと) ただ、『分泌物の減少心理的不安でいろいろ不都合が出る場合(性交痛など)は、リューブゼリーやオリーブオイルを利用するのもいい』とも退院時にもらった紙に書いてありました。 その他、性交痛(痛くて/怖くてできない)などの治療に膣の萎縮を防ぐ『膣ダイレーター』という医療器具等もあるそうです。 詳しくはやっぱり思い切って先生に聞いてみてください。

ちなみに私は単純子宮摘出術プラス付属器(卵巣・卵管)、大網摘出組。 私の場合 『医師の指示』なんてありませんでした。 でも別の方から 『卵巣機能がなくなり女性ホルモンが分泌されなくなることで、膣の組織が徐々に萎縮傾向になり、性行為等をしないことでさらにその傾向は進むので、その傾向を抑止するためにはなるべく早い時期からはじめたほうがよい、続けたほうがよい』 とのアドバイスを受けていました。 QOLのためには確かにそうなのかもしれません。

やっぱり生理的欲求のひとつである『性欲』というのは人間にとっては種の保存的要因だけではなくコミュニケーションの手段としても、術後のクオリティ・オブ・ライフ(QOL)のためにも大切なものだと思います。 まぁ仮に欲求に基づく直接的な行為はなくても、ワクワク感ドキドキ感というものが及ぼす精神的・身体的効果って大きいように思います。女優さんや演歌歌手、アイドルのインタビューでの決まり文句、「いつも恋はしています!」 「恋心はいつも持っています!」的なことって強ち嘘じゃないというか、やっぱりその人を輝かす意味でもとっても大切なことなんだろうなとも思いますし。 それは別に恋愛に限らず、どんなことでもよくて、いつでもドキドキ・ワクワクできる対象(人/事柄)が 『いる/ある』 という環境づくりが人間にとって大切なんだということなのかもしれないですね。 あれ? なんか話がそれちゃったようなのでこのへんにしておこうと思います。(2007年9月記)

参考資料
日本家族計画協会 リューブゼリー http://www.jfpa.or.jp/17-lube/index.html
日本性科学会 膣ダイレーターに関する論文 http://www14.plala.or.jp/jsss/paper.html
がん患者の<幸せな性> 新装版 -あなたとパートナーのために アメリカがん協会(編さん) 高橋都、針間克己(訳)  2007 春秋社



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