粘液性嚢胞性腫瘍、境界悪性 Mucinous tumors of borderline malignancy |
粘液性嚢胞性腫瘍には、腸上皮型と内頸部型の2種類があり、それぞれ臨床的に性質が異なる。ステージがTc期以上は術後化学療法が必要。 腸上皮型 intestinal type 上皮性境界悪性腫瘍の38%、粘液性腫瘍の12%を占める。 この腸上皮型の予後は一般的には良好だが、 腹膜偽粘液腫(pseudomyxoma peritonei) を伴う症例の場合の予後は不良。(死亡例のほとんどはこの腹膜偽粘液腫によるもの→多量に産生された粘液によって消化管に通過障害が起き、悪液質というのに陥って死亡することが多いとのこと)。ちなみに、腹膜偽粘液腫合併率は腸上皮型で17%、内頸部型で0%。腹膜偽粘液腫を伴う場合は、虫垂原発を考慮し虫垂病変の有無を確認する必要があるとのこと。私が患ったのがこの境界悪性粘液性嚢胞性腫瘍の腸上皮型です。主治医に「腹膜偽粘液腫伴ってなくてよかったです。」と言われ、当時はも一つピンとこなかったものの、いくつか文献を読んでゆくうち、「あ、ほんと... 不幸中の幸いかぁ(汗)。」と思ったりもしました。 発病平均年齢は内頸部型より高め(内頸部型34歳、腸上皮型41歳)で、多胞性の割合は腸上皮型のほうが高率(内頸部型20%、腸上皮型72%)、そして腸上皮型は巨大腫瘍を形成する傾向にある。 内頸部型 endocervical type 腸上皮型では腹膜偽粘液腫合併症例がみられるが内頸部型ではみられない。反対に、両側発生率は40%と高率 (腸上皮型の場合は6%)。また、後期再発が少なからずあるとのことで、片側切除のみの手術を行った場合は、特に慎重に長期的経過観察が必要となるとのこと。子宮内膜症の合併が比較的多いのが特徴 (内頸部型は30%、腸上皮型は6%)。 |
引用・参考文献 卵巣腫瘍病理アトラス 石倉浩、手島伸一 編 文光堂 (2004) 産婦人科研修の必修知識2004 (社)日本産科婦人科学会 (2004) |
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