白い影 発覚時のチヂミ エピソード




私、昔から、嫌なことがあるとすぐ逃げようとする習性がありました。自他認める臆病で「あかんたれ」の性格だったりします。

ですから、何気に行った産婦人科でたまたましてもらった検診(エコー検査)で卵巣の「白い影」が発覚した時は、もう大変でした。


「白い影→先生が口を濁す→きっと重篤な何か=癌、ってことは、=私死んじゃうの!?」 

即座に、このようなものすごく単純でネガティブなイメージを勝手に連想し、目の前が真っ暗になりました。まだ、この段階では誰も「腫瘍」「癌」などとは口にしていなかったのに、恐ろしい早とちりです。結局、正しい情報を持ちあわせていなかったからこそ、このような貧しいものの考え方をしてしまったのだと思います。大体、「癌=死」という発想も いいかげん古いですし。 (入院中に 「今は癌は治る病気」だということを改めて感じました。)

このようなものすごくネガティブな思い込みに支配された私は、「白い影の検査結果」も聞きに行くこともできず、その挙句、突然の思い出作りの旅
※1に出たりして、しばらく現実から逃げていました。(※1 詳しくはブログ版闘病日記の 【白い影。。。そして逃走】へ)

したがって、「白い影発覚」から「手術」まで約4ヶ月半もかかっています。

実際のところ、今回発見された私の卵巣腫瘍は、手術後の病理診断の結果、悪性腫瘍(癌)ではなく、悪性度の低い境界型悪性腫瘍でしたが、

「もし、その白い影の正体が実は進行性の癌、つまり悪性腫瘍だったとしたら...」 「もし、現実から逃げ惑い病気と向き合わない日々を延々と過ごしていたとしたら...」 と思うと、もちろん今では癌は治療で治る病気ですが、それでも背筋がゾッとします。

突然の思い出作りの旅から帰ってきて、少し前向きになった自分がいましたが、それでもしばらく大学病院へは脚が向きませんでした。その後、友人に諭されたりして、なんとか大学病院を受診したものの、そこでも私の臆病癖がおさまることはありませんでした。

「悪いことを考えると、物事はその悪いほうに事が運ぶ」
「きっと良性腫瘍だから大丈夫、って考えていれば、悪いこともいい方に転ぶ」

と、今度はかなり迷信めいた考えのもと、意図的に悪性、境界型悪性に関する情報を避けたまま入院してしまいました。

その結果、術前に受けた「想定外のインフォームドコンセント内容」に驚愕し、
もれなくパニックに陥ることに...。

今思えば、自分がとても臆病者だということを自覚していて、悪性 や境界型悪性 に関する情報を目にしてしまうと 身動きが取れなくなってしまうと 潜在的に感じていたからこそ、あえてそれらに関する情報を避けてきてしまったという側面があったのかなとは思います。つまり、一見 楽観的な姿勢のようで、実は病気に対して後ろ向きな姿勢だったのだということです。目をそむけず前をみて(適切な情報は得て)、バシッバシッと病気を治してゆくべきだったなぁと今更ながら思います。

今回の経験で学んだことは、「現実逃避と無知は、適切な治療、回復のためには禁物かも?」 ということでしょうか。

逃げている間があったら、大事になる前にサッサと病院で手術を受けて治してしまうべきですし、知りすぎるのは迷いが生じる可能性もあり、もちろん一長一短あるかとは思いますが、ある程度「どんな病気かな?」「どんな治療するのかな?」ぐらいのことを頭に入れておくのは、精神的にもいいのではないかなと思います。もちろん、これは発覚から手術まで時間がある場合の話ですが。



2005年9月 




<<私の場合へ戻る インフォームド・コンセント内容 >>
HOME

Copyright (C) 2005-2013 ransoushuyou All Rights Reserved.
Counter