インフォームド・コンセント(Informed Consent)の内容




私の場合、術前の医師によるインフォームド・コンセントでは、

「卵巣片側に腫瘍があり、良性の可能性もゼロではないものの、良性よりもむしろ境界悪性・悪性の可能性が濃厚」

という診断予測が立てられていました。はじめて聞く内容でした。

「濃厚って?たしか確率50/50って言ってなかったっけ?」 卵巣腫瘍というのは、実際に開腹手術をし、患側を切除、その組織を術中病理診断をしない限り、良性、境界型悪性、悪性の判断ができないとは聞いていたので、断言ではなく予測という説明になっていたのは理解できました。しかし、境界型悪性、悪性が濃厚って。それに加えて、それらの腫瘍だった場合の手術方法は、さらに「寝耳に水」で、しばらく呆然としてしまいました。何せ、なにもかもはじめて聞く内容でしたから。

私が受けたインフォームド・コンセントの内容はこんな感じ
手術の名称 附属器摘出術、術中迅速病理診断 の結果により、悪性なら 卵巣癌手術 に移行する。
病名と病気の現状 卵巣腫瘍(卵巣癌疑い)。
この手術を行わなかった場合 卵巣癌と診断された場合、原発腫瘍 および転移巣 が徐々に拡大してゆくことが予想される。病巣が 腹腔内全体に広範囲に広がると 大量の腹水が貯留する癌性腹膜炎 という状態となり、全身状態が悪化することが考えられる。
手術の内容 全身麻酔下に、悪いほうの 卵巣卵管 を切除し 術中迅速病理診断 を行う。 その結果、悪性であれば子宮、もう片方の 卵巣卵管、大網、および がん細胞の 転移経路となる 後腹膜リンパ節郭清 を行う。 また、病巣の進行とともに必要があれば 腸管の切除吻合手術 などを追加する可能性 がある。 また、腹膜播種病変など 腫瘍の残存が疑われる場合、腹腔内に 抗がん剤シスプラチン を散布する場合もある。

境界型悪性の場合、後腹膜リンパ節郭清 を省略する。 また、今後の妊娠分娩 を強く望む方で、かつ病巣が片側の卵巣にのみ 限局していると考えられる場合、 患側の卵巣卵管のみ を切除し、子宮および 健側の卵巣 を温存する術式 をとることもありうる。 術中迅速病理診断 はあくまでも仮の診断であり、術後病理確定診断 で診断名が変わることもありうる。
その他、術中のトラブルなどの危険性、合併症、後遺症などについての説明もありました。


卵巣腫瘍の性格上、インフォームド・コンセントでは、たとえ良性の可能性が濃厚だという方であっても、こういった最悪の場合(悪性腫瘍、つまり癌だった場合)の対処方法まで説明を受けるのではないかと思われます。ちなみに、当然ですが、その病気内容・手術方法の説明すべてに患者が納得し、同意しないと手術は行われません。

説明を聞いていて、一番初めに思ったのは、
「境界悪性は悪性ではないとの説明だけど、本当に悪性じゃないの?悪性って名前に入っているのに。それに悪性じゃないのに なんで、悪性バリの摘出術を施さなあかんの?万が一、摘出中に腫瘍が敗れたら即、抗がん剤を使うことになる、ってどういうこと?境界悪性は悪性じゃないんだよね...。」

予備知識のなかった私にはまったく理解できませんでした。 頭はショックで真っ白、内容はチンプンカンプン。でも、すったもんだしながらも、『将来の子供』 よりも 『将来の自分の命』 を選択し、境界悪性の場合、子宮・両側卵巣、卵管、大網を摘出する手術の方を選択しました。

まだ、手術してから日にちも経っていないので、病気についても、手術についても も一つ実感がなく、傷口をみても、「うそやったんとちがうか?」と思うこともたまにあります。だいたい、主だった自覚症状もないまま(今思えば、患側の股関節上あたりに、たまに つれた感じは時々ありましたが...、気になるほどのものではありませんでした。)、バタバターッときたので、まだ、「えらい病気やった」「えらいことした」という実感がないのが正直なところなのです。

ただ、病気/入院を通じて、大きな決断と経験を含め多くのことを学んだ気がします。なので、今回の経験は、確実にこれからの私の生き方にプラス材料として働くと想像しています。もちろん、子宮と両側卵巣を摘出したので、これから起こるかもしれない合併症・後遺症っぽいこととかも不安だったりしますが、それはまあ、起こった時に考えることにしようと思っています。何せ、『生きてこその人生』ですから。少々のことは何とかなりそうです。
2005年9月 


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