未熟奇形腫(G1,G2)、境界悪性
Immature teratoma


卵巣腫瘍の胚細胞腫瘍 (Germ cell tumors)中の奇形腫(Teratomas)に分類される。未熟な胎児性成分を伴う奇形腫で、未熟な組織、特に神経外胚葉組織が豊富なものほど播種や転移を起こしやすい。分化度によって3群に分類されGrade1とGrade2が境界悪性、Grade3が悪性となる。約1/3は開腹時に腹膜播種の状態で卵巣外に進展しており、時折リンパ節転移にいたる場合もある。T期U期のgrade1の腫瘍の場合や腹膜播種巣が成熟成分から構成されている場合は化学療法は不要だが、T期U期でgrade2もしくは3の場合、もしくは悪性度に関係なくV期の場合は化学療法の適応になるらしく、十分なサンプリングによる診断がとても重要とのこと。


未熟奇形腫の悪性度(Norrisらによる)
※日本の卵巣腫瘍取扱い規約(1990)での悪性度分類とこの分類とは異なるとのこと。

grade1:弱拡大1視野を超えない範囲で未熟神経上皮成分が存在
grade2:弱拡大1視野を超えるが3視野を超えない範囲で未熟神経上皮成分が存在
grade3:弱拡大4視野以上の範囲で未熟神経上皮成分が存在

卵巣腫瘍病理アトラスより引用



引用文献 産婦人科研修の必修知識2004 (社)日本産科婦人科学会 (2004)
卵巣腫瘍病理アトラス 光文堂(2004)

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